Amarosso~深い愛~の作り方♪

  *

善は急げというじゃないか。

麗華は満面の笑みで言い放った。

先生はそういう使い方を教えていないだろう、と言い返した。

だが聞く耳などもたない。

とかく食べ物が絡むと。

こうして二人でビュッフェに行く日は、次の日曜日に決まった。

麗華が選んだのは公園前にある老舗ホテルのビュッフェだった。

待ち合わせのロビーにあるソファーに座り、行きかう人を観ていた。

外国からの旅行客、ビジネスランチらしきグループ、結婚式に参加するらしき人、子連れ一家。

あたりまえだが、存在している一人一人に、それぞれの人生がある。

他人の人生に関わるだろうが、支配はない。

支配をされたくないし、したくない。

だから。

見慣れた黒塗りの車が正面玄関へ滑り入ってきた。

物思いが破られる。
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