Amarosso~深い愛~の作り方♪

「そうもいかないんだろ。
 旧華族の大事なお客様だ」

「旧華族ったって、うちは元は武家だもん。
 たかだか徳川の時代からだし」

「それでも300年以上でしょ」


苦笑交じりに返す。


「西園寺みたいに平安時代からの公家もいるから、うちなんて無骨者」

「よく無骨者なんて単語知ってたな」

「陰で言われているのを聞いた」

「やっぱり怖い世界だね」

「怖いって言うか」


麗華が珍しく言いよどんだ。


「なに?」

「なんでもない」


首を振って、引かれた椅子に腰をおろした。

支配人が一通りの挨拶をして行ってしまうと、張り付いた笑顔を消して、眉を八の字にする。

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