Amarosso~深い愛~の作り方♪

「うっわ、むかつく」


腹立ちまぎれに、ローストビーフを口に押し込む。

怜士はくすくすと笑っていた。

散々馬鹿にされて、殴ったると思うのに、結局、この笑顔で許してしまうのだ。


「反則だ」

「なに?」

「なんでもございません」

「ご機嫌斜めだな」


そういいながら、席を立って言ってしまった。

新たに食べ物をとってくるらしい。

怜士が歩いていると、テーブルについている女性が何人も目で追っているのがわかる。

すれ違うと振り返るのもいる。

気持ちはわかる。

純粋な日本人といっているが、どこかで遺伝子が変異を起したに違いない。

腰の位置はあきらかに日本人離れしている。

柄のシャツに、プレーンなカーディガン姿の雰囲気は、海外のボーディングスクールに通っている良家の子
息のようだった。

麗華は気を取り直して、皿に向き直ると、フォークを動かす。

その目の前にぬっと腕が現れた。

捲り上げられた袖から覗く腕の筋肉に、力強さのようなのを感じて、どきまぎした。
< 82 / 273 >

この作品をシェア

pagetop