Amarosso~深い愛~の作り方♪
「奢ってもらってなんだけど、この年から株とか、FXとか珍しいね」
「人の趣味は色々だろ」
「ああ、そうだね」
逃亡資金を貯めるためとは言えない。
もっと荒く稼ごうと思えば、稼げるが、目立ちたくない。
見つかってしまう。
あの男は居場所を知ってはいるだろう。
だが、同じ顔をしたその他大勢には見つかりたくない。
見つかっても、ライバル視はされたくない。
相手にならないと思われたい。
ホテルを出て、未だに麗華の腕をつかんだままなのに気が付いて手を離した。
「いい天気だなあ」
のほほんと隣で空を見上げている。
「このまま梅雨、すっとばないかなあ」
「ないな」
「だよねえ」
止めた方がいいとわかっていても、まだ掴んでいたかった。
ここで押さえ込めるほど、人間修養は出来ていない。
「ほら、ゲーセンだろ」
今度は麗華の手首をつかむと、歩き出した。