こころ
誕生日
初めて遊ぶのが誕生日だなんてなんか変かもしれないけど、駅に向かって辰士を待った。ベンチに座ること5分。
辰士が階段から上ってきた。
男慣れしてないからドキドキしてたけど、電車の中でも辰士はぺらぺらしゃべってばっかで、あたしはワラってばっかだった。ケンカしてたはずなのに。
なんかちゃんと会ってはなすと別人みたいですごく気があった。
おしゃべりで優しくて、ちょっと照れ屋で。
たった数時間の間であたしは辰士に飲み込まれていった。
初めて会った気がしなかった。
ルミナリエまでの通り道でサンタの帽子をみつけた。
「誕生日プレゼントに買ったるわ」
辰士が初めてあたしに買ってくれたものだ。
始めてみるルミナリエはきれいでまぶしくてしかたなかった。
でもルミナリエの綺麗さよりも辰士の目の輝きのほうがあたしはずっと綺麗におもった。
「ムービーとろっか!!」
なんて辰士は子供みたいにはしゃいでそれが愛しかった。
人が多すぎて人混みに紛れそうになったときに辰士はあたしの手をとった。
どきどきしたけど嫌じゃなかった。
屋台のカステラを買ってくれて食べた。
「おいし〜」
あの味はきっと忘れられない。
ルミナリエを堪能してから海沿いに行った。
人が少なくてあたしたちは階段に座った。
景色がキレイでロマンチックだった。

「クリスマスさ、ユニバ行かん??」
「行く〜!!」

クリスマスの予定もできた。

後は…辰士の言葉を待ってた。

もぞもぞしながら何か言おうとしていたんだ。わかってた。

時間をかけながら、

「俺と付き合って下さい」

返事はもちろん

「はい…!!」

運命だったのかもしれない。

そう、これは運命だったんだ。

辰士は写メが好きで、サンタの帽子をかぶるあたしもトトロの人形とたむわれるあたしも写メした。
プリクラもとった。
すごくすごくステキな一日になった。
生まれてきた中で一番大事な日になったんだ。

それからあたしたちは毎日毎日会っていたね。

愛しくて愛しくてたまらなかった。

こんな気持ちは初めてで、どうしたらいいのかわからなかった。

ただ、まっすぐに辰士を見てたんだ。

そして辰士も自分を見てくれているという自信もあった。
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