こころ
入院
たっちゃんはあたしの家の近くでバイトをしていた。
でもやめた。きっとあたしが店長と言い合いしたからだ。
たっちゃんはあたしを責めなかった。
ごめん。

この頃あたしは熱で緊急入院をした。
たっちゃんは毎日きてくれた。
うれしかった。
ばいばいしても夜中に公衆電話で長電話をしていた。
あたしが「会いたい」と言ったら
「今行くから待ってて」
ってゆって、超特急で夜中に病院の非常口から入ってきた。
あたしたちは二人っきりの暗いロビーでひそひそはなしてた。
天井がガラス張りで空が見えてきれいだった。
星を見るといつものあのセリフをゆうんだ。
「あの星ってなんで輝いてるか知ってる?」
「麻姫の輝きに負けへんためやろ!!笑」

「ちゃう、早く元気になれってゆってんねん。早く退院しろよ。な?」

あたしは毎日たっちゃんがくるのをまって楽しみにしていた。

「その紙とって」

「なにすんの?」

「いいから!!」

何かを作り始めた。

「でーきた☆」

鶴…折り鶴だ。

「なんで4つあるん?」

大きい鶴が二羽、すんごく小さいのが二羽あった。
「でっかいのが俺と麻姫で、ちっこいのが俺らの子供やぁん!!」

あたしは双子が産みたいと言ってた。
だからだ。

二つの小さい鶴はほんとに小さくて、器用なたっちゃんにしかできないほどだった。

「ありがと!!ここに飾っておく!!」

ベットの上に置いた。
優しさが嬉しかった。
あたしはその一週間後、無事に退院することができた。
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