きっともう大丈夫

星空の下で

「あー!お腹いっぱいだね」
ホテルのレストランで夕食を食べた後、私たちは別荘までの道を歩いていた。
行きは下りで楽だったが、帰りは上り坂で食べすぎのお腹にはいい運動だった。
ハルはさっきからキョロキョロと木々を見ながら歩いている。
「ねえ。何か探してるの?」
「ん?・・・ちょっとね・・・」
ちょっとね・・・にしてはキョロキョロしすぎ。
しかも・・・時々溜息ついて会話もほとんどない。
「ちょっとって・・・なに?」
すると急にハルが手招きをしてきた。
訳も分からずハルに近づくと
「・・・・うわ~~綺麗!これ何?虫だよね」
「セミだよ・・・」
「でも・・白いというか薄い黄緑って言うか・・・なんか神秘的だよね」
「うん・・・この時にしか見られないから沙希に見せたくってちょっと探してたんだー」
・・・・・・もう!なんなのー!凄く大人っぽいかと思えば子供っぽかったり
ちょっとキュンキュンするじゃないの?わたしってば・・・
私のそんな気持ちなど知ってか知らずか
「もう見れたから帰って次は花火だよ。」
そう言って私を追い越してすたすたと前を歩く。
こういう時に9歳という年の差をひしひしと感じるのよね。
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