きっともう大丈夫

ハルはすぐそこに

「さーたん、さーたんみてみてテントウムシいるよ」
「おー!本当だね。雄太、このテントウムシはねアブラムシを食べてくれる
凄い虫なんだよ」
「じゃあーおはなまもってくれるの?」
「そうだよ~すごいでしょ~」
雄太はもう4歳、保育園の年中さんになったばかりだ。
私の事を「さーたん」って呼んでくれる小さな私の婚約者?
雄太が僕のおよめさんになって、ってプロポーズまでしてくれたの。
こんな35歳のおばちゃんに。
君が最短で私と結婚したとしても、その時私は50歳だよ。(笑)
いつも保育園の送り迎えは一海さんがやってるんだけど、
今仕事が忙しいので一海さんの代わりに詩織と交代で保育園の
送迎をしてる。
今日は私が当番なので送り迎えをしている。
そしてただ今雄太と道草中。
公園の花壇に咲いてる花を二人でじーっと見ていたら
テントウムシ発見。
じーっと観察する姿が本当にかわいい。
雄太はお花が大好き。きっと将来はイケメンフローリスト?
二人で30分ほど遊んでお店に戻ると
雄太はママである詩織におもいっきりダイブする。
あー私も子どもが欲しいって思っちゃうんだよね。
相手はいないけど。
そんなことを考えてると・・・
「さーきさん!なーにボーっとしてるんです?私の花束みてくださいよ。」
目の前に花束をぬっと差し出してきたのは
フローリストを目指す新人のかなでちゃん。
花淋のムードメーカでもあり、雄太の子守担当でもあり、な-んでもやっちゃうス―パー女子と私はよんでる。
私はこのかなでちゃんの教育係。この子を立派な花屋のお姉さんにするためにやさしく?教えているつもり。
「うーん。いいんだけどさ・・ほら・・ヒペリカムと・・・ユーカリなんかもってくると・・・いいかんじじゃない?」
かなでちゃんの花束を少しだけ手直しする。
「うわー!すごくかわいい!さすが沙希さん。」
そういって出来上がった花束をお客さんに見せるんだけど
私の力作よ!って顔で出すもんだから何だか笑えちゃう。
離婚して約3年半。
私は詩織の家族やかなでちゃんのおかげでこうやって楽しく過ごせるようになりました。
時間はかかったけど明良の事も吹っ切れて、今は仕事一筋といったところ。
明良と別れてからは誰ともお付き合いはしていない。
男はこりごりって訳ではないんだけど
出会いがないんだよね。
それに私の担当は主にブライダルだから
お客様はこれから結婚するカップルばっかり・・って当たり前よね。
おしゃれなカフェへお花を生けに行ったりすることもよくある。
だけどそこの店員さんはどう見ても大学生・・・・対象外だ。
一応女だし、恋愛したいって思うんだけど悲しいかな出会いがない。
かえでちゃんなんかはよーく合コンとか行ってるんだよ。
時々誘われちゃったりするんだけど、もう合コンって年じゃないし・・・
考えるとだんだん悲しくなるんだよね。
雄太・・・あんただけよ心の癒しは・・・
< 58 / 137 >

この作品をシェア

pagetop