BitteR SweeT StrawberrY
「ガク、おまえ最低・・・・」

「弱みに漬けこむ最低男ですよ、俺は」

「まじで最低・・・弱ってる時狙うとかまじでクズ・・・」

「うわ・・・ひでー言い方だなそれ?今、・・・ちょっと傷ついたぞ!」

「いや、ほんとの事だし・・・勝手に傷つけよって感じ・・・」

「あ~・・・そうですね・・・」

「ガク・・・」

「ん?」

「それ・・・今すぐに答え出せとか言われても、無理だから・・・」

「わかってるよ、それぐらい・・・ちゃんと待てる男だよ、俺は」

「うん・・・じゃ、そうして・・・」

「そうしますよ・・・」

そう答えた佐野さんは、少しだけベッドに身を乗り出して、いまだに片腕をおでこに乗せているケイを、上から見下ろすように覗きこむ。
ケイは、少しを横を向いて横になったまま、そんな佐野さんに目を合わせようとしない。
佐野さんの唇が、小さく笑った。
ゆっくりと体を傾けて、佐野さんはそのまま、ケイの唇にキスをする・・・

その瞬間、あたしは、いたたまれなくなって、今にも泣きだしそうになりながら、エレベーターに向かって走り出していた。

「わかってたはずなのにあたしって馬鹿だよね・・・っ!
自分で覗いたくせに・・・っ!」

ぎゅうって唇を噛み締めて、あたしは、エレベーターホールまで全力疾走すると、調度着いたばかりのエレベーターに飛び乗った。

そうだよ、ちゃんと判ってたよ・・・
佐野さんはケイのことが好きで、ケイだって、佐野さんのことが好きだってこと・・・
だって二人は、嫌いで別れた訳じゃないもん・・・
あたしが、あの二人の間には割り込めないことぐらい、ちゃんと判ってた・・・

ケイは、迷ってるんだ・・
佐野さんに答えるにか、答えないか・・・
迷ってるんだ・・・

あたしは、佐野さんのようにケイを支えてあげられない。
どんなに頑張っても、きっとあたしは、佐野さんのようにはなれない。
佐野さんに答えたほうが、ケイは楽になれるし、もっとゆっくり治療に専念できるのかもしれない。

だけど・・
それは判ってるけど・・・
判ってるけど・・・
あたしだって・・・
ケイのことが好きで・・
あたしだって・・・
ケイと一緒にいたい・・・

あたしは、ぎゅうって唇を噛み締めたまま、必死で泣くのを我慢して、エレベーターの中の床に座り込んでしまう。

「胸が痛いよぉ・・・」

この夜、あたしは、せめぎ合う自分の心と、一晩中、格闘することになった・・・

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