犬との童話な毎日
あたしの身の回りの人達は黒曜が見えないからね。
会話をしていてもあたしの独り言にしか見えないだろうし。
頭おかしくなったと思われちゃう。
「……ねぇってば」
『……小娘、恥じらいも無いのかお前には』
扉に向かって呼んでいたのに、黒曜が姿を現したのは窓だった。
にょき、と窓ガラスから顔だけ出した黒曜の顔が湯気にけぶる。
「恥じらい?何でよ」
『……なんでも無い』
面倒臭そうに答えると、ひらり、と洗い場の上に降り立った。
そういえば、体、濡れないのかな。
黒曜がお風呂に姿を現したのって、初めて、だよね。
濡れた足で廊下とか歩いたら……。
マズイ、気がする。
そこんとこどうなってるんだろう?
ぼー、っと茶色い毛並みを眺めているとちゃぷん、と音がした。
目の前で。