犬との童話な毎日
「は?」
気付いた時には、と言うか止める間も無く。
黒曜の前脚が湯船に差し込まれていた。
しっかりと。
「ちょっと……あんた何してんの」
『湯浴み』
ゆあみ……って、多分入浴の事だよね?
「なんでよ」
『気持ち良さそうだから』
畳んであるお風呂の蓋に飛び乗った黒曜に、体が仰け反る。
「……まさか入んないよね?」
あたし、犬嫌いなんだから。
こんな狭い湯船で、あんたとお見合い状態になるのは勘弁なんだけど。
黒曜は返事もしないで、そのまま尻尾をちゃぷん、と湯船の中に垂らして目を細めた。
……多分、ご満悦な表情をしている、んだろう。