犬との童話な毎日
ほれほれ、と催促するかの様に尻尾がお湯を跳ねさせる。
何度拭っても何度も顔を濡らしてくる黒曜の尻尾に、慌てて声を上げる。
「分かった分かった、分かったからお湯掛けるのやめてよ」
尻尾をお湯から引き抜いて、ふん、と満足気に鼻を鳴らす。
ホントーに面倒臭い化け犬。
どこか子供っぽいとこあるんだよね、黒曜って。
……まあ、あたしに言われたくは無いだろうけど。
「もー、お湯ちょっと飲んじゃったじゃんか」
ぺっぺっ、と口を鳴らすけれど、口の中にまだ温かい感触が残っていて気持ち悪い。
うがいついでにシャワーを浴びて上がろう、と洗い場に立つと、ふと視線を感じた。
「…………何?」