犬との童話な毎日
あたしの言葉に何も返さずに、黒曜が振り返る。
何気に構えてしまうのは、こいつの顔が無駄に整っているから。
くっそ。
何でこいつこんなに良い顔してんだよ。
どうせなら、残念な顔になれば良かったのに。
何て口にはとても出来ないけど。
「小娘、帰るぞ」
「……そのお姿でですか?」
ふん、とつまらなそうに鼻を鳴らす仕草はやっぱり黒曜っぽくて。
制服の良く似合う、細身の背中に着いて歩いた。
玄関前で、母親の匂いがする、と黒曜が犬の姿に変わるまで。