犬との童話な毎日

あー、窓から良い風入って来る。
きもちい……。

「……ねぇ」

なんだ、と返ってくる声。

「あったかくなってきたねぇ」

目を閉じて、ベッドで大の字に寝転んで。
あまりにも力が抜けていたからなのか。
口から突いて出たのは、まるきり世間話し。

「赤ちゃん可愛かったなぁ。ふにゃふにゃしてたね」

「夜のお散歩、行きたいな」

『夜の?』

「うん、夜の」

少しの沈黙。
そして、ふ、と微かに笑った気配。

空気が少し変わったような、空気が動いたような気がしたけれど、瞼は重たくて。
確かめる気にはならない。
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