犬との童話な毎日

「散歩はまただな」

あ、と思った。
少しだけ柔らかく感じる声。
もしかして黒曜、笑ってるの?
今、笑うとこあったかな。

目を閉じてるから、見れないのが少しだけ残念な気がした。

「……ねぇ、喉、乾いた」

「小娘、まさか俺に茶でも取って来いと言っているのか?」

まさか。
こんな夜遅くに家の中を、犬が歩き回ってたら、うちのお母さん卒倒しちゃうよ。

「んー……眠いし我慢する」

ぼんやりとした声で呟くと、ふと、おでこに熱を感じた。

あれ?
毛むくじゃらじゃない。
人の手だ。
それもあたしよりも大きな、あたしよりも温度の高い人の手。

「小娘、眠るな」

何でよ、眠れって言ったの黒曜じゃん。
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