犬との童話な毎日

「おい小娘」

「えー、なに?」

振り向きもせずに適当に返事をしていたからかな。
苛立つようにぐい、と乱暴に腕を掴まれてびっくりする。

あ、近い。

振り返った瞬間にどきっとした。
こんなに近い距離に、男の子の姿の黒曜がいたことなんて初めてで。
その背の高さとか、際立って。

あたしと変わらない男の子と対面している気がしてしまう。

「な、なに?どうかした?」

おどおどと問うあたしに、黒曜が眉根を寄せる。

「……散歩はいいが道は考えろ。人通りもない、灯りも少ない夜の道など女が歩くものではない」
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