犬との童話な毎日
「な、なによぅ。だってそんな速さで歩くんじゃ、散歩じゃないじゃん」
まるで競歩みたいだったし。
呆れたような、そんな目で見なくてもいいじゃん。
馬鹿犬め。
また一つ、ふう、と吐息が聞こえて。
「夜道にあまり慣れるな。少しばかりでいいから闇を恐れる心を根底に持て。彼岸のものも此岸のものも、良いものばかりではない」
「え、え、何?ひが……?あんたお経でも読んでんの?」
無言であたしを見ていたかと思うと。
がくり、と頭を下げて片手で顔を覆う。
……そんなに全身で脱力してます、ってアピールしなくても……。
「ねぇ。そんなおじいちゃんみたいな難しい喋り方しないでよ。もうちょっと今時の喋り方とか出来ないの?」