犬との童話な毎日
……ああ。
その話し、そう言えば聞いた覚えがあるわ。
……遭遇したことなかったし忘れてたわ。
「クロ、何咥えてんの」
長瀬くんが子犬の口元に手を伸ばしたところで、とてとてと子犬が歩き出す。
「んぎゃっ」
汚い声を上げて体を震わせる。
その声に黒曜までもが尻尾を震わせる。
『っ!驚かせるな馬鹿者っ』
だってこっちの方に歩いてくるんだもん!
爽やか長瀬!
どうにかして!
「あ、俺便所行こうとしてたんだ。やべ、戻りが遅いと大の方だと思われるっ」
そして肝心の長瀬くんは……。
あたしの助けを求める視線に気付くことなく、長瀬くんは小走りで去っていった。