犬との童話な毎日

シャツの裾がだらしなくズボンのウェストから出ている。

「小娘はここにいたいのか?俺は帰るが」

ちらり、と子犬を見ればこちらを見上げていて。
まるで会話が分かっているのかのように、黙って成り行きを見守っているように見えた。

「……で、でもこの犬に用事があったんじゃないの?」

「別にない。こいつが呼んだから一応様子を見に来ただけだ」

「……それってあんたに一緒に飼い主探して欲しいからじゃないの?」

用事がない、って言い捨てたけど。

あたしの突っ込みに黒曜の唇がに、と弧を描いた。

「……ならば小娘がやってやればいいんじゃないのか」
< 285 / 311 >

この作品をシェア

pagetop