犬との童話な毎日
え、それって。
「あたし、昔は犬嫌いじゃなかったってこと?」
物心ついた頃からもう嫌いだった気がしてた。
ずずっと日本茶を啜る音がリビングに響く。
ふいに黒曜が好きな、お笑いの番組の音が頭に響いた気がして、そちらに顔を向ける。
いつから見ていたのか、黒曜の漆黒の瞳がこちらに向けられていて。
静かなその瞳に、息を飲む。
「その逆ね。わんわん、犬、犬って騒いで自分から寄って行ってたわよー。でも大きくなるにつれて嫌いになっちゃったみたい」
黒曜はあたしの目を数秒じっと見つめて、そしてゆっくりと顔をテレビに戻した。
「……へぇ、知らなかった」
黒曜の背中から目を離せずに、呟いた。