犬との童話な毎日
あたしの目の前の空間に、文字が。
正確な所を言うと、解くべき問題文が浮いているんだもん。
ぷかぷかと、プリントから離れて。
何も無い空中で、平仮名が、漢字が、年号なのか数字まである。
おかげさまで、あたしの社会の抜き打ちテストの紙上は、文字達が逃げ出したために真っ白だ。
『お〜、また見事にやったもんだ』
放心状態だったあたしの耳に届いたのは、何時の間にか教室に戻っていたらしい、茶色い毛玉の呑気な声。
毛玉と言うには、ちょっとばかし大きいんだけどね。
……何、これ?
助けを求める様に、黒曜を見る。