犬との童話な毎日
……沙月って言った。
黒曜が沙月ちゃんの名前を口にした。
あたしの名前だって呼んだ事無いくせに。
小娘、なんて失礼な呼び方しかしないくせに。
とは、何だか言えなかった。
ふん、あたしだって黒曜の名前を呼んだ事無いし。
密かに心の中じゃ化け犬、って呼んでるし。
……ばーかばーか。
……それでも何となく面白くないのは、まだあたしが寝足りないからだ。
きっと。
乱暴に掛け布団をめくって何となく苛立ったまま立ち上がると、横目で黒曜を見た。
「ねぇ、着替えるから出て行ってよ」
『……何か怒っているのか?』
「はぁ?誰が?何で?
いいから出てってよ早く」