犬との童話な毎日
「ほら六花、食べたければ自分で大根擦ってよ」
すでに用意されていたらしい大根を、ずい、と突き出して来る。
下ろし金もセットだ。
こんな時、何時もだったら渋々従っていたんだけれど。
今日は文句も言わずに素直に立ち上がったからだろう。
お母さんが少しびっくりして。
「どうしたの?今日は随分とお利口じゃないの」
と笑った。
たまにはね、と返しながら腕まくりをして、キッチンにお母さんと並んで立った。
何だかお母さんに優しくしたい気分になった夜。
少し、複雑な色を含んで。