犬との童話な毎日
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「六花、知ってる?」
呼ばれて振り返れば、悠が相変わらずの可愛い顔で口を尖らせていた。
長い付き合いだからこそ分かる、笑いを堪えている時の表情。
「……何か企んでる?」
「何でそうなるかなー、もう。違くって、あの噂知ってるかなー、って思って」
授業終わり、体育館の床から腰を上げると床がきゅ、と鳴った。
体操着の胸元をはたはた、と揺らして風を送り込む。
「行儀悪りぃな」
あたしの隣に未だ座り込んでいる、高城が顔を顰めて、いつも通りのお小言。
「あんたは女子に夢持ち過ぎなの。現実をきちんと見据えないと、そのうち痛い目見るよ」