人気女優がタイムスリップ!? ～芸能界⇒島原⇒新選組～

女の子は恋バナが大好物な生き物だと思う。だけど、それは友達の好きな人との恋がかなうようにの応援をしたり、友達の好きな人を聞いて自分だけが握っている秘密をその友達と共有したり。


自分の好きな人は、絶対に言いたくなかったりするよね?　


私のその例外じゃない。だけど、今回はそれに当てはまらない訳で。


もともと、些細な誤解から生まれたこの会話。今の私には好きな人なんてもの居ない訳で。


浪士組の人達は、男友達。悠斗や翔もそれと同様。もちろん、飛鳥さんは論外。


って言い方は失礼だと思うから、よく言えば知り合いかな?


こんなこと飛鳥さんに言えば、『そんな言い方、少しだけ冷たすぎやしないかい?』って嫌味言われそうだし。


クラスにいるでしょ?


関が左右前後になったから話はするけど、いつも一緒にいるわけじゃない人。私と飛香さんはそういうあいまいな関係かな?


「まぁまぁ。
２人とも何か誤解しているようだけど、私が考えていた人っていうのは酒屋の主人ですよ。」


「酒屋の………」


「主人、ですか?」


息がぴったりな二人。私の中では、この二人は浪士組のマスコットキャラだったりする。　


「そう。
この間、酒屋に行ったときに酒屋の主人が得意な篠笛を聞かせてもらったんですよ。。」


「篠笛か………」


そうつぶやいた乙葉ちゃんの顔は、一瞬だけ何か残念そうな顔をしていた。


「実は僕、篠笛って聞いたことないんですよね。よかったら今度、彰さんから酒屋の主人に頼んでくれませんか？僕にも篠笛を聞かせてくださいって。」


「じゃぁ、私も!」


沖田さんは、純粋に篠笛を聞きたいんだと思う。だけど、さっきから心がチクチク言っている私。


そんな私の心とは裏腹に、輝かしい笑顔で私に期待の眼差しを送ってくる二人に、“いやだ”という簡単な言葉はとてもじゃないけど言えなかった。


「う…うん。いいよ。」