風の詩ーー君に届け
「ゆっ……幽霊」



「いい演奏でしたよ、オケで弾くより数倍も」



2人の会話にマエストロもオケのメンバーも、首を傾げる。




「デュエット、最後まで『Jupiter』を弾きたかった」



「あなたが、邪魔したのよ」



妹尾は話しながら笑顔になった。



誰もが唖然と妹尾を見つめる。



あの妹尾が!?



詩月と柔らかな笑顔で、言葉を交わしあう妹尾を不思議そうに。



「あなたがメデューサだなんて言うから」




「セイレーンの方が良かったかな」



妹尾は声を上げ、お腹を抱え笑う。



「なんだ、笑えるんだ。そんな柔らかな顔ができるんだ」



「失礼ね」



妹尾は笑いながら言う。




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