風の詩ーー君に届け
「妹尾さんって、きれいな顔なんだからさ。

眉間に皺寄せた険しい顔ばかりしていないで、笑ってればいいのに」




オケのメンバー、マエストロが詩月をハラハラしながら見つめている。




コンマスの如月は、「な、なんて直球。そんなことを言ったら……」と思い、額に手を当てる。




如月は、その辺りで止めておけとでも言う顔を詩月に向ける。




妹尾はハッとし「何っ、大人をからかわないでよ」と頬を染める。



「根っから嫌な奴なんていない。誰にだって……心がある、ねぇ妹尾さん」




妹尾の瞳に涙が滲んだ。




「あなたって人は、本当に……バカ」



微笑む詩月に、涙声で言った妹尾の頬に大粒の涙が、つぅぅと伝った。



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