風の詩ーー君に届け
カウンターから「安坂くん」と呼び、本をヒラヒラさせる。




安坂は立ち上がりカウンターに駆け寄り、「ハイネの詩集ですか」と言いながら、マスターの手から本を受け取った。



「ふーん、もっとオドロオドロした詩かと……全然違うな~」



「だろう!?

ローレライって、120メートルを越えるいきり立つ断崖のことなんだ」



マスターはローレライ伝説について、淡々と語り始める。



ローレライの「lore」は女名で水の妖精、「ley」はライン地方の方言で岩を表し、「妖精の岩」という意味。




「ローレライ」の名を持つドイツ西部のライン河中流ヒンゲンと、コブレンツ間の右岸に切り立った、高さ120メートルの大きな岩。



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