風の詩ーー君に届け
「酷いことをするよな。

学オケ、今日は休みだし乗せて行くぞ」




「ありがとうございます。助かります」



詩月は驚いた様子も慌てる素振りも見せない。




落ち着いて返信をする。




慣れて平常心なのか、平静であろうとしているのか安坂には、その様子が反って痛々しく思えた。




急ぎ正門に車を回した安坂は、助手席に座った詩月に尋ねた。




「何て返信したんだ?」




――講義が終わりしだい向かいます。

少し遅れるかもしれません。

申し訳ありません





詩月はスマホの画面を無言で見せて、フッと溜め息をついた。



エンジンを掛けながら、

「そこまで下手(したて)に出る必要があるのか? 

度々、嫌がらせをされているのに」

と安坂が苛ついたように言う。





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