風の詩ーー君に届け
気持ちを落ち着かせようと、詩月は深呼吸をする。




ホームに入った電車が停車したのを確認し、ゆっくりと立ち上がり電車に乗り込むと、安堵のため息が漏れた。




電車独特の揺れに振動が体に伝わり、詩月は硬く手摺を握りしめる。



胸の鼓動が乱れる。

じわり額に汗が滲む。



ヤバいなと思った刹那、目の前が霞み始め、ぐらりと体が揺れた。




「おい、」


傾いた体を支えられ、

「すみません」

と言いかけると、いきなり抱きかかえられ、


「席を開けてもらえますか」


と言う、聞き慣れた声が聞こえた。



半ば強引に席を譲らせ、手際よく、上着のボタンを外し胸を開ける。



目深に被ったキャップを脱がされ、


「大丈夫か? 詩月」


と呼ばれる。



詩月は「……理久」頼りなく呟いた。




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