風の詩ーー君に届け
「雨……止まないわね」



緒方が、窓越しに空の色を窺う。




「……彦星も織姫も雨男に雨女だったりしてな」



緒方が笑いを堪えている。





「そんなに笑わなくてもいいだろう!?」




「だって〜」





「降らなくていい時には降るんだよな」




「そうね〜。七夕の日は晴れてほしいわね」




俯いた、どこか憂いのある表情にこんな顔もするんだなと、つい見とれてしまった。





「七夕、何か予定は?」





「何も入っていないけど」



残念そうに、けれどサラリ言う。




「コンサートチケットがあるんだ。一緒にどうだ?」




「レッスンは大丈夫なの?」




「開演には間に合う」




「何時?」




「ん……確か18時半。港みらい。

先に、席に着いててくれないか。

チケットは近日中に渡すから」




「楽しみにしてる」



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