俺は、負けず嫌いで鉄面皮だから

教室を出て、庭を歩き、今度は2号と名付けられた建物を潜りいったら、前を三人で歩いている二年生の学生がいた。

二年生、一組の組長の名前知らない男と二人の女の学生だ。

男が言った。「あの三年生、全く。」

冷夏の心底から複雑な感情が湧いて、ちょっと大声で呼びとどめた。「おい、こっちにいるよ。」

その男の組長が振り返って、無表情に言った。「あ、先輩、ちょうど先輩の話してた、あのビデオ、素晴らしかったのに、一番感動したのに」と。

冷夏もまたわざと「ありがとう、そうか」と相槌を打った。

組長が言い終わると、二人の女子学生に断ってさっさと裏門に向かって去った。二人の女の学生もぼそぼそ喋りながらわざと距離を保って歩いた。やがて、どこかへ消えた。

これもギャップか、と冷夏はため息をついて、家に向かって足早に歩きながら再び考え始めた。

「こいつら何を考えて、56という数字を書き下ろしたの、いくら下手でも、せめて合格はできるだろう。ギャップか、年齢の差で重なった審美の相違か、単なる私が嫌いなのか、先輩とはいえ、何の付き合いもないから、全然赤の他人なのに、なんで悪意まで、まさか私何かをしてそれを引き出したか。

これから、一年生や二年生、私を見かけるたびに、『ほら、あの56点の三年生だよ』、間違いない、きっとそうだ、赤の他人からの嫌い、私まだ初めてこれを味わったね、奴らのお陰だ。

ああ、赤の他人、私と無関係だ。こうと考えるほかない。奴らはきっと自分のやったことをすまなく思えない、だからこそ、私はいくら自分を悩ませても無駄。根を持っても何にもならない。

これからも、身近だけの憎んだ目だけでなく、知らない人からのこういう差別も有りうるから。図々しくなりそう、だが仕方が無い。私、厚かましくならなければいけないからだ。自分を困らせないためだ。」

冷夏は習慣のように、苦痛を感じた時、空を見上げている。青く静かな空は、今に泣きそうな雰囲気を降り注いでいる。

全く悔しくないのは、自分の無能に怒っているばかりからだ。もっと能力があれば、こういう結末はありえないはずだ。

でもやがてこの怒りはただ悲しみの数を増やしただけだ

恥ずかしい。こうと言っても適当ではない。「うちにどう説明すればいい。」

冷夏は帰って、鞄を下ろすことさえ忘れて、まずは組のLINEグループで謝った。

「申し訳ない、さっきのコンテストでうちただ56点だった。」

予想通りに、癒しの言葉を受けた、二人三人しか慰めてくれないけど、これで少しでも冷夏は気を良くした。

「まるで三年生全体に恥をかかせた感じ(´;ω;`)」

これを打って、送った。すると、朝美からのメッセージがきた。

「冷夏だってあんなに苦労してたのに、私でも恵美でもいいと思ってるよ、ほんとうに、こんなこと気にすることはないよ」

冷夏は突然、涙で文字が読めなくなり、目元を拭いて、このメッセージを読み返した。

「ありがとう、今はもう平気だよ。俺様だから、心配しないでね」

グループで、元班長の優希が、「そんなことない、私だってすごく感動した、みんなに見せてよ」

冷夏は実にこれに対してなんの感想もないが、「うわ、癒された」と返事した。

朝美、恵美、そして優希、この三人だけは冷夏のビデオを見た。親友として、コンテスト行く前に、朝美と恵美に見せた。優希は一年生一組の世話係なのでコンテストの会場にいた。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop