【完】本当の恋
乱入上等 谷川愛生
私はまた、浩太さんに助けられた。
浩太さん優しくて、その優しさに甘えてしまう。
「悩んでいるなら話してごらん」
私は浩太さんにすべてを話した。
私のせいで彼を傷つけてしまったこと。
彼からの突然の別れ。
告白をされて、断ったら殺されそうになったこと。
友達から裏切られたこと。
すべてを。
「わ、私、これから、どう生きていけばいいの?」
「愛生」
「誰も、私なんか、心配してない」
「そんなことない」
「じゃあ、なんで迎えに来ないの?」
浩太さんは黙ってしまった。
「もう誰も信じられない」
浩太さんは私を抱きしめた。
「俺が心配してる。愛生のこと大切だ」
「ううっ。ほんとに?」
「ああ。俺が側にいてやる。だから、大丈夫だ」
「うっ。うん」
浩太さんは私の頭をなでた。
「よしよし。もう大丈夫」
「浩太さん」
「ん?なんだ?」
「私を、抱いて」
「えっ!」
「彼のこと忘れたいの」
私は着ているものを1枚1枚脱いでいく。
「お願い。浩太さん」
下着姿の私。
浩太さんは着ていたジャケットを私に被せた。
「愛生。俺は、愛生が好きだ。大切だから、もっと時間をかけて愛生のこと知りたい」
「浩太さん・・・」
「それに、まだ彼のこと忘れられないんだろ。だったら、忘れるくらい俺を好きにしてやるから」
「浩太さんっ」
私は浩太さんに抱き着いた。
「おぉ。とりあえず服着ろ。襲いたくなるから」
「きゃっ」
愛生は顔が赤くなる。
「浩太さんのエッチー!」
私は、浩太さんを殴ってしまった。
次の日、学校に行った。
教室に入ると桃子は先に来ていたみたいだ。
「愛生っ」
私は、無視して席に座る。
「ごめん。私のせいでひどい目にあわせて」
「・・・」
「愛くんから聞いた。加藤の奴、絶対に許さない」
「・・・」
「あのさ、なんで待ち合わせに来なかったの?」
「え?」
「いや、実は10分遅くいちゃって。あ、メール見てない?」
私は、受信履歴を見る。
そこには、遅くなると、桃子からメールがあった。
「遅く来たこと怒ってる?」
「あのさ、加藤くんに私にひどい目にあわせてっていったんじゃ」
「はぁ!言うわけないじゃん」
「実はね」
私は桃子に話した。
「はぁ!あいつふざけんなっ」
桃子が大声で言ったのみんなが見ている。
「ちょっと待ってて」
桃子は吉沢くんに電話した。
「もしもし。愛くん?あのね、加藤、学校来てる?」
『ああ。来てるよ』
「ありがとう。じゃあ、今から来るから」
『今からって。どうした?』
「事情はあとで話すから」
桃子は電話を切った。
「愛生。行くよ」
「行くってどこ行くの?」
「決まってんでしょ。北里高校だよっ」
桃子は私の手をつかんで引っ張る。
北里高校に着いた。
「行くよ!」
桃子はずかずかと入っていく。
「桃子っ」
私も桃子の後を追う。
「愛く~ん」
「桃子。よく来たな」
「まあね。で、加藤は?」
「ああ、あいつは隣のクラス」
「ありがと。また後で」
「うん」
ガラッ
桃子は勢いよくドアを開けた。
みんなが見ている。
「ちょ、桃子」
「あい、加藤」
「あ、桃子ちゃん」
桃子は加藤くんの胸ぐらうぃ掴んだ。
「てめえ。愛生に謝らんかボケ」
桃子は大阪出身で怒ると関西弁が出る。
それに、昔は相当の悪だったらしい。
「ええかげんせえよ。うちが愛生にひどいことするわけないやろ」
「え。な、なんのことだか」
「しらばっくれんのか」
「いや、その」
「まだ言い訳すんのか」
「す、すいませんでした」
「うちじゃのうて愛生に謝れゆうとんじゃ」
桃子は加藤くんから手を放した。
「あ、愛生ちゃん。本当にごめんなさい」
「愛生。どないする?」
「一発殴る」
「そうか。ごら、加藤、立てや」
「え!」
「さっさと立てや!」
「あ、はい」
私は加藤くんのお腹を殴った。
「うっ」
加藤くんはその場にうずくまる。
「おお、愛生やんな」
「うん!」
ガラッ
「おい。お前たち、何やってるんだ」
私たちは北里高校の職員室に連れていかれた。
「あなたたち、自分が何したか分かってるの?」
「・・・」
「あなたたちがやったことは桜王高校に連絡いたします」
「クラスと名前。言いなさい」
「・・・」
「言いなさいと聞こえないの!?」
ピンポンパンポン
「ええ。僕、加藤明は谷川愛生に首を締め、殺そうとしました」
「「ざわざわ」」
「彼女には本当にひどいことをした。申し訳ありませんでした」
ピ――――ッ
「だとよ。そいつら悪くないんじゃないか?」
「愛くん」
「高校に連絡する前に警察に電話だね」
「山田先生。放送室に行きなさい」
「あ、はい」
「あ、あなたちのことは水に流すから、早く帰りなさい」
「「はい、失礼しました」」
ガラガラッ
私たちは正門に出る。
「ふふふっ」
「あははははっ」
「「いえーい」」
「うちら、最高コンビだね」
「うん!」

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