忠犬カノジョとご主人様
名札をちらっと見ると、双葉と書いてあった。
双葉さん……名字まで可愛い。
いや、でも俺は知っている。こういうナチュラル系可愛い女子に限ってあざといってことを……!!
「ありがとうございましたー」
……しかし、双葉さんがニコッと微笑んだ瞬間、880円でこんなに満面の笑みを貰えるなら俺はハーゲンダッツ箱買いしてもいいと思ってしまった。
そして姉ちゃんに感謝した。
この時間に買い出しを頼んでくれたことを。
ささやかな楽しみとしよう……。
ああいう人は自分の中のイメージを崩したくないから、たまーに行ってたまーに会えたらラッキーくらいが丁度いい。
俺はハーゲンダッツとマンガ本を持って鬼姉の待つ家に帰った。
しかし、神は俺の普段の姉からのぱしられ方を見て哀れんでくれていたのだ。
まさかこんなご褒美をこんな形でくれるとは、一体だれが想像できただろうか?
「双葉クルミです、趣味は料理と乙女ゲー……じゃなかった、面白いアプリゲームをすることです!」
友人がたまには年上と合コンをしようぜと言って開いてくれた4:4の合コン。
俺はあまり期待をしていなかったけど、その天使を見た瞬間ぽかん顔をしてしまった。
え!?
待って!?
こんなことありえていいのか!?
これなんの奇跡俺もしかしてこの人と結婚するんじゃねーの!?
その時の俺は完全に一人で暴走し切ってしまっていた。というかただの痛いやつだった。