【完】私と先生~私の初恋~
「……ほら…こっち向いて。」


優しくそう言われて、嗚咽を堪えながら先生を見つめる。


先生は優しく微笑むと、フッと顔を近づけた。


先生の唇が、私の唇に軽く触れる。


私の頭は、途端に真っ白になった。


息をする事も忘れて、私は自然に目を閉じた。


先生の顔が、スーっと離れる。


私は思い出したように、そっと息を吐いた。


薄っすらと目を開けて、先生を見る。


「…泣き止んだ。」


先生は私と目が合うと、ニコッと微笑んだ。


「…せんせい…」


私がやっとで呟くと、先生は恥ずかしそうにクスっと笑った。


「その…先生って呼ぶの、そろそろやめにしませんか?」


私は少し困った顔をした。


少しだけ考えて、先生に小さな声で聞き返す。


「……じゃあ何て呼べばいいですか?」


先生もちょっと困った顔をしながら笑った。


暫らくぼーっと何処かを見て黙り込んでいたが、またフッと笑うとまっすぐ私を見つめた。


「んー………わからない…」


そう言いながら、ゆっくりと顔を近づけてくる。


私はまた、目を閉じた。
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