「葵ちゃん、これおいしいね」




「えっ?」



今の今まで光のそばにいたはずの優輝さんがあたしの作った野菜炒めをつまんでいた。



のんきっていうか…KYっていうか…。




「あ、ありがとう…ございます…」



「葵ちゃん、送るわ。帰ろ」




かと思えばあたしを送って行くと言ってあたしの隣に来た。




「すぐ上なんで…大丈夫です…」



「知ってる。ほれ、行こうや」



半ば無理矢理肩を押されて玄関まで連れて行かれた。




優輝さんがドアを開けてサッサと外に出された。



外に出る寸前に、光と目が合った。



でも、すぐにそらされた。




やっぱり、作らないで帰ればよかったんだ。




あたしの後ろについて出てきた優輝さん。



本当に送るつもり?



30秒もかからないのに。



「あの、ほんと、上なんで」



「知ってるって」



「じゃあ、なんで…」



「送るってのは建前でさ」



「?」



「光のこと嫌いになった?」



「え?」



「んーっと…怖いと思った?」



「…はい」



光の家のドアの目の前で。



優輝さんは曖昧な顔をした。



「葵ちゃんのこと、大切に思ってるからさ」



「誰がですか?」



「光」



「え?」



「あのー、一目惚れってやつ」



「は!?勝手な妄想話さないでくださいよ」




「メール見る?」
< 36 / 267 >

この作品をシェア

pagetop