解けない恋の魔法
「だって、最上梨子は女性ですよ?!」

「僕は女性だと公表した覚えはないんだけどな。名前が女性っぽいからみんな勝手にそう思ってるだけで」

「そ、それに宮田さんは、自分はマネージャーだって……」

「あー、それは騙しました。隠れ蓑になってちょうどいいからそう言うようにしてる。幸いみんな最上梨子は女性だと思ってるから、まさか僕が最上本人だとは誰も思わないし」

 それはそうでしょう。
 私だって、悪いけどこんなキリッとした男性が最上梨子だとは、まったく想像だにしなかった。

「ショックだった? ごめんね」

 呆然として放心状態の私をよそに、宮田さんが可笑しそうにクツクツと笑いを漏らす。
 からかわれているだけ……ではないようだ。

「これが守ってもらいたい秘密。僕イコール最上梨子だと誰にも言わないこと」

 目の前で起こっていることが、とても現実だとは思えない。
 夢でも見ているんじゃないだろうか。仕事だということも、一瞬忘れてしまいそうだ。
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