俺様とネコ女
「中華食いたい」

「いいね。ご飯系いらないよね」

「いらない」

「こってりした炒め物だね」

とことん意見が合う。合わないことがないんじゃないかと思うほどだ。思い込みとも取れるような、こんな些細な合致が凄く嬉しい。


頭の中でメニューが決まり、キャベツ、豚ばら肉。どんどんカゴに入れていく。

必要なものは食材だけじゃない。豆板醤、オイスターソース。中華ならではの調味料だけじゃなく、醤油や酒、ごま油まで買わなきゃいけない。

いっぱいになったカゴをみて、コウ宅でオムライスを作った日のことを思い出して笑った。


あの日、実は大変だった。コウの家には、一切の調味料がない上に、フライパンも鍋さえなかった。

もちろんお米もなくて、オムライス作りに必要なものを全て買い揃え、それを徒歩で家まで運ぶという行為は、拷問に近いものがあった。

あまりの重さに、家にたどり着くまでに道路上で何度も休憩を挟んだ。


でも。大変だったけど。

今まで、コウの家で手料理を振舞った女はいないんじゃないかと喜んだ。本当に、誰も家にあげてないのかもしれない。
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