俺様とネコ女
「腹減った」
夢と現の間を、ぼんやりさ迷っていたところに、ムード台無しのコウの一言。思わず吹き出してしまう。素肌に触れるシーツと熱い身体が気持ちよくて、瞼も重くて身体の疲労感がとてつもない。
もし明日、地球が滅びてしまっても、それはそれで別にいいかって思うくらい、幸福感で満たされている。
「そうだね」
「飯食いに行くか。何食いたい」
「焼酎」
「食いたいものを聞いたはずだが」
「コウが、あの日2軒目に連れて行ってくれたお店行きたい」
「わかった」
寝返りを打ったコウの熱が離れていく。それを追いかけて、私も寝返りを打つ。横たわったままコウを抱きしめると、おでこにキスをくれた。
「ベッドから出るの、めんどくさいね。お腹すいたけど、まだくっついていたい」
「ああ」
二人で笑う。けだるげなコウの色香がだだ漏れだ。
この唇に、好きだって言われたんだ。この腕に抱かれたんだ。あんなに、深く、激しく抱き合ったんだ。
この人を独り占めできるんだ。
涙腺が壊れた目から、簡単に涙が溢れた。なにこれ。こんなの私じゃないよ。コウに気づかれないように、気力と服とバッグを持って、洗面所へ駆けこんだ。