俺様とネコ女
玄関の鍵が開いた音がした。

コウが帰ってきた。


電気をつけた音。車の鍵を置いた音。

何も見えないのに、コウの行動が手に取るようにわかる。


「ここ?いるのか?」


近づいてくる足音。聞きなれた、大好きな声。


すっぽり被った布団をそっと外される。目が合わせられず、 枕に顔をうずめる。


「電気もつけずにどうした?」

「頭が痛い」

「大丈夫か?電話しろよ。抜けて帰ってくるのに」


優しい言葉に涙がでる。もう、散々泣いたのに。


「泣くほど痛いのか?」

「さっき薬飲んだから大丈夫だと思う」

「服着替えられるか?」

「うん。お風呂入る…」


やっぱりコウとはいられない。

普通に出来ない。


少しでもコウと離れたい。


ううん。離れたくない。
< 270 / 337 >

この作品をシェア

pagetop