俺様とネコ女
「信じられない。まだ飲むの?」

風呂から出てきた女の第一声だ。女はパーカーしか身につけていなかった。

「お前、下も履け」

「あれ長すぎでコケるよ。ほら、これ大きいから大丈夫」

そう言ってパーカーの裾をチラリと捲って見せる。際どい太ももは、狙っているのか。

「目が覚めたなら帰れ」

「今何時?」

「1時」

「電車ないから無理」

ふざけてるのか。声が弾んでいる。こいつ、今の状況が分かってるのか?

「もういい寝ろ。お前ソファー」

「えー、女の子だよ?ベッドがいい」

「あんだけ飲むヤツは女じゃねえ」

「あ、ごめんね、お金払ってくれたんだよね。いくらだった?」


賭けに負けたのに金を払ってないことに気付いた女は、今更ながら申し訳なさそうに肩をすくめた。それから部屋を見回し、自分のバッグを見つけ駆け寄る。きちんと払う気持ちはあるようだ。

やっぱりこの女、ふざけてるけど、まともだ。
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