俺様とネコ女
「ここ、お前そろそろ芋?」

「あ、うんお願い」

「薩摩郷外、ロックふたつ」

「まいど」


背後に並べてある焼酎コーナーから、黒い瓶を抜き取ったマスターが、陶器のグラスに俵型の大きな氷を一つ落とす。

このお店は、氷にもこだわっている。

自家製なのか既製品なのかわからないけど、それぞれのお酒に最適な氷を使ってるから、本当においしい。せっかく出会えた美味しいお店に、もう来られなくなると思うと残念だ。


「マスター、俺たち東京行くから」

「旅行?いいね何泊?」

氷めがけて焼酎を注ぐマスターが、コウを見る。


「いや転勤。こいつも連れて行く」

「ええっ!?」

「声でかい」

「連れて、え?それって、え?」


混乱するマスターを放置で薩摩揚げを頬張るコウはなぜかそこで黙る。なんなの。


「コウがプロポーズしてくれたんです!」


そう言って、芸能人の結婚会見さながらに、キラキラ輝く指輪を見せ付けた。
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