彼方の蒼
一学期を終えてもらった通知表を開くと、美術には10がつけられていた。
10段階評価の10。最高評価だ。
見てくれていたんだ。
ちゃんと評価してもらえた。
僕は一気に顔が熱くなるのを感じた。
全然興味なさそうだったのに、絵を見てもただのひとことも褒めなかったのに、なんだよ。
先生なりの考えがあってそうしていたってこと?
だとしたら、僕はこれからどんな絵を描いていったらいいんだろう。
たとえば、たとえばだよ?
先生が先生としてではなく、ただの一人の人間に立ち返るしかないような、理性がぶっ飛んじゃうような絵とか?
——それがどういう作品かは見当もつかなかったけれど、そのときの僕は自分の思いつきに夢中になっていて、ほかの科目が片手で足りる数字であることなんて気にもならないほどの高揚を覚えた。
やってやろう! って思った。
こんな気持ちにさせられたのは初めてで刺激的だった。
倉井先生が好きだとはっきり自覚したのはそのときだ。