彼方の蒼
この期に及んでモチベーションが上がるなんて思いもよらなかった。
信じられないのと感動とでのどが詰まりそうになりながらも歌に返る。
聴きわけられるはずのない倉井先生のメゾソプラノを声の群れに探す。
そこにあると思うだけで胸がいっぱいになる。
それぞれ道別れても、の歌詞で危うく泣かされそうになる。
何十回と歌ってきたのにそれまでとは全然違った。
真剣に、大声で主張しないように響きを大切にして、音を聴いて、女子の声の重なりを聴いて、周囲の男子と歌を揃える。
夢中だった。
大勢で作りあげる音の真っ只中にいられて幸せだった。
もうここでやり残したことはない。
なにもない。
清々しさに駆られながらおしまいまで歌った。