印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
1973年12月23日 快晴
きょうは日曜、明日はイブか。
ギリシャ出て一か月と10日。
庭の陽だまりにテーブルと椅子出して洗濯。
あー、のどかのどか。
日記書いて、こういう日は手紙も書く。
<俺は生きてます。アグラでのんびりとタジマハール観て、
シタールすごかったぜ。これから南のボンベイ行きます>
日本は寒いだろな。クリスマスだもんな、雪かもしれねえ。
こんだけ暖ったかいと、年賀状は書く気になれねえ。
ほんとアグラはいいところ。
人も天気も暖ったかいし、宿にもおやじにも・・・
引っかけられたかどうかはわかんねえけどさ。
気持ちよく騙してくれるのは、気持ちいい。
やっぱり旅はこれだ。 いっひっひ
ボンベイの汽車賃も要るし、両替しとこう。
おやじに聞いた闇屋は、シタール先生の隣だった。
またドルが安くなってる。1$が8.75ルピー。
銀行じゃ7.98だから、少しはマシだけど・・・
手数料1回にして、4人で100ドル替えた。
デリーで水谷君に金借りたまんまだし、20$替えて
借金4$返した。ありがとさん。
駅行って列車の時間調べる。あてにはならねえ時刻表だけど。
ボンベイまでどうやって行こうか。地図広げて作戦会議。
直行はきついな。17時間缶詰だぞ。
じゃあ、ジャイプールあたりで一泊してくか。
駅員に聞いたらジャイプールへはここからは出てない、
ほかの駅まで40分乗れって。
しょうがねえ、じゃ直行しようか。17時間か、地獄だな。
3等で39.7ルピーが学割で19.8。
よし、決めた。地獄列車で行くべ。

宿戻ってジーパンにつぎあてて、寝袋干して一服してたら
おやじが来た。
おお、おやじ、俺等明日出るぞ。世話んなったな。
「ええ!出る?トモダチ ダメダメ私日本人だーい好きだ。
トモダチだろ。アグラはまだまだこんなもんじゃないぞ」
顔色変えたおやじ。
「明日、いい草仕入れるし、おねえちゃん紹介するぞ。
ガイド代わりに連れまわしてOKだ。 何か食うか・・」
必死で止めるおやじ。カモのあてが外れたか。
うん、でも俺等ボンベイ行くんだ。世話んなったな。
おやじ良い人だし、ヒッピー達にここ紹介するよ。
「オーノーダメダメ。アグラはまだいっぱい城もある。
私の兄弟のお土産屋、連れてゆくよ」
俺等聞き流す。
おやじ、両手広げた。ついにあきらめた。
悪りいな。愛想笑いで握手。でも目は笑ってねえ。へへ
夜、おやじ呼んでビールおごった。
おやじ、宿の名刺を配り始めた。
「私日本人大好き。この宿と私のこと皆に紹介してくれ」
わかってるよ、心配すんな。
ヒッピーの情報ノートは世界中回ってる。
だから、必ずおやじを頼ってみんな来るぞ。
「おお、トモダチありがと。ところでこれ買わないか。
ルビーだ。 指輪、ネックレス。 本物だ」
おやじよ、それやったらダーメ。そういうの日本人は大嫌い。
おやじ、ダメもとで出しやがった。かわいいもんだ。
12月24日 晴れ。 アグラよかったぜ。またな。
「OK バイバイ トモダチ」 いいおやじだった。
朝飯食ってリキシャで駅へ。 案の定ごったがえしてる。
列車1時間遅れ? ストの影響とクリスマス帰郷だって。
まあ、しょうがねえな。
あっという間に席も通路も埋まる。早いもん勝ち。
俺等も便所前の通路に陣取る。
例の悪臭と熱気、これだけは慣れねえ。
膝曲げっぱなしで足痛え・・12時、やっと発車した。
5時、1時間停車。一人が荷物番して交代で外に出て一服。
連結にも人が座ってる。いったいどこへなにしに行くんだ。
窓から手も足も出てまるで終戦の疎開列車・・知らねえけど
ホームに長椅子だけ出した飯屋でカレー汁とナンとチャイで
2.5rp。駅弁とは呼べねえがこれしかない。
辛えのなんのって、頭痛くなってきた。
チャイ ガブ飲みで流し込んだ。ひーっ
また豚箱列車に戻って、もう寝るしかねえ。寝袋で蓑虫。
足踏まれて蹴っ飛ばされてボンベイも楽じゃねえ。
8時か・・あと9時間。最悪のイブだ。ぐええ
12月25日夜中2時。
列車にへばりついてた奴等が動き出した。
ほれ、とっとと一人でも降りてくれ。
少しすいてきた、移動すっか。
ベンチ席を確保して網棚で寝る。うーたまんねえ。
あと3時間かと思ったら、出発しない。
なんだ? 牛積む? ヴァキャロー。
お前等、金払ったお客と牛とどっちが大事なんだあ。
牛です・・・あっそう、勝手にしやがれヒンドウ野郎め。
うしろ3両に牛積んで、発車5時半。もう最悪。
午後3時。やーっとボンベイに着いた。
結局27時間じゃねえか。10時間オーバーだ。ったく。
ま、しょうがねえ、無事着いただけマシってやつか。
よーっし!ついに来たボンベイ。長かったあ。
おっー、こりゃ真夏だ。結構な都会ビルがある、公園も。
汗だくのクリスマスか・・・ひっひ いいじゃねえか。

公園で手足延ばして深呼吸。さあ宿捜すか。
ところでバクシーシ、今んとこ来ねえな。
30分歩った。 よーっし、アメ公の言ったとおりだ。
ここはバクシーシ無ーしっ。ばんざーい!
ヒッピー情報の安宿は満員。野宿もいいが体痛え。
一応観光地だしクリスマス。4軒目にやっと空いてた。
観光用ホテル4人で一泊55ルピー。
バカ高いが地獄列車のあとだ、まともに寝たい。ここに決めよ。
部屋は上等。扇風機もある。初の観光ホテル。
ふっかふかのベッドに寝転ぶ。
ふっかふか・・・さ、乾杯しようぜ。
ノーバクシーシに乾杯!
禁酒州だが、行くとこ行けば手に入る。ヒッピーの感。
来る途中で見つけて缶ビール10本買っといた。
1本5ルピーは高えが、冷えてるしうめえ。
「よお、せっかくここまで来たんだし、ゴアまで行って
みないか。島で泳ごうぜ」
おお、ゴア行こうぜゴア。こうなりゃもうどこだって行くぞ。
お湯シャワー浴びて・・爆睡
12月26日 きょうはボンベイ観光、明日はゴアだ。
まず両替して船のチケット買いに行く。暑い。
歩いても歩いてもバクシーシのガキが来ねえ。
いなきゃいねえで寂しいもんだ。へへ
闇両替屋を探す。怪しい店は大体バザール近く。
あった。表は時計屋、裏両替屋。1ドルが9ルピー。
ゴア用に30ドル替えた。
次、船着き場。船賃は上がってた。デッキで27.1ルピー。
ヒッピー情報は25。何でも上ってやがる。
まあ、しょうがねえ、クリスマス価格か。
ゴア行けば物価めちゃ安だろ。
バスでハンギングガーデンに行く。
ロンドン風街並、旧英国植民地。牛もいない人も垢ぬけてる。
ヤシの並木道、古い建物、デリーとは違う都会だ。
男4人で女王の首飾りと呼ばれる、マリンドライブを散歩。
ホテルは高いが食いもんは安い。1.5ルピー昼飯。
サトウキビジュース1杯50パイサ。旨い安い。
8時、ホテルに帰る。歩き疲れた。爆睡。
12月27日 バッチリ晴れて暑い。いいぞ。
引き出しに聖書があった。確かにここはキリスト教だ。
さあ、船は10時。モンパリとチャイ、肉団子で朝飯。
気のせいかチャイはうまい。英国仕込みか。っひっひ
さあ、行くべえ!
ドックに8時半に着いて食糧仕入れ。
兄ちゃんがサトウキビを万力で挟んでちから一杯捻じる。
汁をバケツに溜めてビニール袋に入れる。ラッシー。
プラスティックのコップつけて60パイサ。やっすい。
9時半乗り込み。潮風に太陽ギラギラ、いいぞ行けえ!
混んでるが、立てるし動けるしタバコも吸える。
なんたって風で熱気も異臭も飛んでく。列車よりいい。
人のほかに犬、猿、バナナ、香辛料積んで、
デッキはテントや幌が立ってマゼラン気分。
インド人か家族も多い。 外人ヒッピーもちらほら。
10時。めずらしく遅れずに出港した!!
うーん快適快適。 行けえゴアだ 潮風だ正月だ!

きょうは日曜、明日はイブか。
ギリシャ出て一か月と10日。
庭の陽だまりにテーブルと椅子出して洗濯。
あー、のどかのどか。
日記書いて、こういう日は手紙も書く。
<俺は生きてます。アグラでのんびりとタジマハール観て、
シタールすごかったぜ。これから南のボンベイ行きます>
日本は寒いだろな。クリスマスだもんな、雪かもしれねえ。
こんだけ暖ったかいと、年賀状は書く気になれねえ。
ほんとアグラはいいところ。
人も天気も暖ったかいし、宿にもおやじにも・・・
引っかけられたかどうかはわかんねえけどさ。
気持ちよく騙してくれるのは、気持ちいい。
やっぱり旅はこれだ。 いっひっひ
ボンベイの汽車賃も要るし、両替しとこう。
おやじに聞いた闇屋は、シタール先生の隣だった。
またドルが安くなってる。1$が8.75ルピー。
銀行じゃ7.98だから、少しはマシだけど・・・
手数料1回にして、4人で100ドル替えた。
デリーで水谷君に金借りたまんまだし、20$替えて
借金4$返した。ありがとさん。
駅行って列車の時間調べる。あてにはならねえ時刻表だけど。
ボンベイまでどうやって行こうか。地図広げて作戦会議。
直行はきついな。17時間缶詰だぞ。
じゃあ、ジャイプールあたりで一泊してくか。
駅員に聞いたらジャイプールへはここからは出てない、
ほかの駅まで40分乗れって。
しょうがねえ、じゃ直行しようか。17時間か、地獄だな。
3等で39.7ルピーが学割で19.8。
よし、決めた。地獄列車で行くべ。

宿戻ってジーパンにつぎあてて、寝袋干して一服してたら
おやじが来た。
おお、おやじ、俺等明日出るぞ。世話んなったな。
「ええ!出る?トモダチ ダメダメ私日本人だーい好きだ。
トモダチだろ。アグラはまだまだこんなもんじゃないぞ」
顔色変えたおやじ。
「明日、いい草仕入れるし、おねえちゃん紹介するぞ。
ガイド代わりに連れまわしてOKだ。 何か食うか・・」
必死で止めるおやじ。カモのあてが外れたか。
うん、でも俺等ボンベイ行くんだ。世話んなったな。
おやじ良い人だし、ヒッピー達にここ紹介するよ。
「オーノーダメダメ。アグラはまだいっぱい城もある。
私の兄弟のお土産屋、連れてゆくよ」
俺等聞き流す。
おやじ、両手広げた。ついにあきらめた。
悪りいな。愛想笑いで握手。でも目は笑ってねえ。へへ
夜、おやじ呼んでビールおごった。
おやじ、宿の名刺を配り始めた。
「私日本人大好き。この宿と私のこと皆に紹介してくれ」
わかってるよ、心配すんな。
ヒッピーの情報ノートは世界中回ってる。
だから、必ずおやじを頼ってみんな来るぞ。
「おお、トモダチありがと。ところでこれ買わないか。
ルビーだ。 指輪、ネックレス。 本物だ」
おやじよ、それやったらダーメ。そういうの日本人は大嫌い。
おやじ、ダメもとで出しやがった。かわいいもんだ。
12月24日 晴れ。 アグラよかったぜ。またな。
「OK バイバイ トモダチ」 いいおやじだった。
朝飯食ってリキシャで駅へ。 案の定ごったがえしてる。
列車1時間遅れ? ストの影響とクリスマス帰郷だって。
まあ、しょうがねえな。
あっという間に席も通路も埋まる。早いもん勝ち。
俺等も便所前の通路に陣取る。
例の悪臭と熱気、これだけは慣れねえ。
膝曲げっぱなしで足痛え・・12時、やっと発車した。
5時、1時間停車。一人が荷物番して交代で外に出て一服。
連結にも人が座ってる。いったいどこへなにしに行くんだ。
窓から手も足も出てまるで終戦の疎開列車・・知らねえけど
ホームに長椅子だけ出した飯屋でカレー汁とナンとチャイで
2.5rp。駅弁とは呼べねえがこれしかない。
辛えのなんのって、頭痛くなってきた。
チャイ ガブ飲みで流し込んだ。ひーっ
また豚箱列車に戻って、もう寝るしかねえ。寝袋で蓑虫。
足踏まれて蹴っ飛ばされてボンベイも楽じゃねえ。
8時か・・あと9時間。最悪のイブだ。ぐええ
12月25日夜中2時。
列車にへばりついてた奴等が動き出した。
ほれ、とっとと一人でも降りてくれ。
少しすいてきた、移動すっか。
ベンチ席を確保して網棚で寝る。うーたまんねえ。
あと3時間かと思ったら、出発しない。
なんだ? 牛積む? ヴァキャロー。
お前等、金払ったお客と牛とどっちが大事なんだあ。
牛です・・・あっそう、勝手にしやがれヒンドウ野郎め。
うしろ3両に牛積んで、発車5時半。もう最悪。
午後3時。やーっとボンベイに着いた。
結局27時間じゃねえか。10時間オーバーだ。ったく。
ま、しょうがねえ、無事着いただけマシってやつか。
よーっし!ついに来たボンベイ。長かったあ。
おっー、こりゃ真夏だ。結構な都会ビルがある、公園も。
汗だくのクリスマスか・・・ひっひ いいじゃねえか。

公園で手足延ばして深呼吸。さあ宿捜すか。
ところでバクシーシ、今んとこ来ねえな。
30分歩った。 よーっし、アメ公の言ったとおりだ。
ここはバクシーシ無ーしっ。ばんざーい!
ヒッピー情報の安宿は満員。野宿もいいが体痛え。
一応観光地だしクリスマス。4軒目にやっと空いてた。
観光用ホテル4人で一泊55ルピー。
バカ高いが地獄列車のあとだ、まともに寝たい。ここに決めよ。
部屋は上等。扇風機もある。初の観光ホテル。
ふっかふかのベッドに寝転ぶ。
ふっかふか・・・さ、乾杯しようぜ。
ノーバクシーシに乾杯!
禁酒州だが、行くとこ行けば手に入る。ヒッピーの感。
来る途中で見つけて缶ビール10本買っといた。
1本5ルピーは高えが、冷えてるしうめえ。
「よお、せっかくここまで来たんだし、ゴアまで行って
みないか。島で泳ごうぜ」
おお、ゴア行こうぜゴア。こうなりゃもうどこだって行くぞ。
お湯シャワー浴びて・・爆睡
12月26日 きょうはボンベイ観光、明日はゴアだ。
まず両替して船のチケット買いに行く。暑い。
歩いても歩いてもバクシーシのガキが来ねえ。
いなきゃいねえで寂しいもんだ。へへ
闇両替屋を探す。怪しい店は大体バザール近く。
あった。表は時計屋、裏両替屋。1ドルが9ルピー。
ゴア用に30ドル替えた。
次、船着き場。船賃は上がってた。デッキで27.1ルピー。
ヒッピー情報は25。何でも上ってやがる。
まあ、しょうがねえ、クリスマス価格か。
ゴア行けば物価めちゃ安だろ。
バスでハンギングガーデンに行く。
ロンドン風街並、旧英国植民地。牛もいない人も垢ぬけてる。
ヤシの並木道、古い建物、デリーとは違う都会だ。
男4人で女王の首飾りと呼ばれる、マリンドライブを散歩。
ホテルは高いが食いもんは安い。1.5ルピー昼飯。
サトウキビジュース1杯50パイサ。旨い安い。
8時、ホテルに帰る。歩き疲れた。爆睡。
12月27日 バッチリ晴れて暑い。いいぞ。
引き出しに聖書があった。確かにここはキリスト教だ。
さあ、船は10時。モンパリとチャイ、肉団子で朝飯。
気のせいかチャイはうまい。英国仕込みか。っひっひ
さあ、行くべえ!
ドックに8時半に着いて食糧仕入れ。
兄ちゃんがサトウキビを万力で挟んでちから一杯捻じる。
汁をバケツに溜めてビニール袋に入れる。ラッシー。
プラスティックのコップつけて60パイサ。やっすい。
9時半乗り込み。潮風に太陽ギラギラ、いいぞ行けえ!
混んでるが、立てるし動けるしタバコも吸える。
なんたって風で熱気も異臭も飛んでく。列車よりいい。
人のほかに犬、猿、バナナ、香辛料積んで、
デッキはテントや幌が立ってマゼラン気分。
インド人か家族も多い。 外人ヒッピーもちらほら。
10時。めずらしく遅れずに出港した!!
うーん快適快適。 行けえゴアだ 潮風だ正月だ!
