兄貴がミカエルになるとき
大抵は誰かに告白する、告白されるというところから始まるんだろうけど、

自分たちはもちろん、周囲にもそんな経験を持つ友人はいなかったので、余計他人の話で盛り上がる。

「誰々は誰々と一緒にどこかに出かけたらしい」とか、

「手をつないでいたらしい」とか、

「キスまではしたらしい」といった「らしい話」をおやつがわりに盛り上がる。

そしてバレンタインデーは、自分がその「らしい話」の主人公になり得るきっかけとして、大切なイベントなのだ。

だいたい、好きな人にチョコレートをあげる―――。

こんなにスウィートで、リーズナブルなティーンエイジャー向けのイベントがあるだろうか。

大好きな人が、自分があげた甘い甘いチョコレートをつまんで食べる姿を想像しただけで、胸がふーっと膨らんでくる。

いや、その前に大好きな人にどんなチョコレートをあげるのか、

どうやって渡すのか、

果たして貰ってくれるのか、

貰ってくれたはいいけどちゃんとチョコを食べてくれるのか、

いやいや食べてはくれても自分の思いまで口に含んでくれたのか………。


< 15 / 307 >

この作品をシェア

pagetop