兄貴がミカエルになるとき
「トオ兄さ、モンモンもいいけど、彼女作ったら?」

そう提言してカップの底に残った最後のプリンをズズっと吸いこむと、トオ兄が軽くため息をついた。

「お前さあ、プリンを口の中に流し込むなよ」

「なんで?」

「醜いから」

綺麗な顔をした男に醜いと言われると、たとえ兄でも軽く傷つく。

モンモンまでもがその通りだというように、トオ兄の隣で私をじっとり見ている。

「トオ兄もさ、モンモンにスプーンでプリンを掬ってあげながら、『カワイイ~』とか言わない方がいいよ」

「なんで?」

「アホみたいだから」

と、言い終わった瞬間にパシっと乾いた音が響いた。

テーブルの上にあった新聞紙で私の左即頭部をはたいたトオ兄が目だけで笑っている。

腕のリーチが長いだけあって、鮮やかな速攻撃だ。

「俺のことはいいから、今年は女子として菓子会社の商業イベントに便乗し、チョコの一枚くらい誰かにあげてみろ」

「たった今、乗せられる必要はないって言ったくせに」

そんな私の反撃は軽く無視してモンモンに向き直り、「お前は男前だからな。女子ワンコからいっぱいジャーキーとかもらえちゃうかもなあ。どうする、モンモン。もってもてだぞお」と言って、モンモンの顔を手で挟み込み、今にもキスしそうな勢いだ。


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