兄貴がミカエルになるとき
「トオ兄…」

「なんだ」

「だからさ、犬にばっかり甘い声で語りかけるの、やめなよ」

「なぜ?」

「だってブキ…」

今度は最後の「ミ」の字まで言う前に新聞紙が飛んできた。

左手で頭をかばったが、今回は右即頭部を叩かれた。

「ふっ。中坊は詰めが甘いな」

トオ兄は口元をちょっとだけ引いてにやりと笑い、「まったく咲季はあほだよなあ」と、モンモンの頭を撫でる。

痛い。ムカつく。

「絶対にプリンなんてあげないから!」

私はそう宣言してソファアから立ち上がり、テーブルの上の新聞を掴んだ。

そして左右即頭部に見舞われた二発分の力を込めてトオ兄の後頭部を一発はたき、「後ろからとは卑怯だぞ!」という非難の声を背中に受けながら、二階の自分の部屋に駆け上がった。



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