兄貴がミカエルになるとき
バレンタインデーを三日後に控えた学校帰り、美奈ちゃんとチョコレートを買いにデパートに立ち寄った。

今年こそお兄さんのイケメンフレンドにチョコを渡すのだと、美奈ちゃんははりきっている。

私は、今年はパパにしかあげる予定がないからそれほど迷うこともない。

パパは中身の質より見た目の可愛さにいたく感激する男性なので、犬の形をしたチョコレートが犬型の缶に詰められた、ドイツの輸入チョコレートを選んだ。

さすが愛犬家が多いといわれるドイツのチョコはおしゃれだと感心する。

トオ兄と同様、モンモンを犬だけど猫可愛がりするパパにぴったりだ。

その犬型のチョコレートが並んだ下の段には、サッカーボールのラッピングを施した、やはりドイツのチョコレートが置かれていた。

赤や青のキラキラ光る紙に包まれた、小さなサッカーボールが詰まった網の袋を目の前に持ち上げてみた。


「それ、誰にあげるの? あ、もしかして真田?」

お目当てのチョコレートを買い終えた美奈ちゃんが、いつの間にか後ろから覗き込んでいた。

「え、なんで真田が出てくるの?」


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