兄貴がミカエルになるとき

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熱は翌々日には引いて、3日もしたらすっかり元に戻った。

残りの休みは幸っちゃん宅に通いつめ、まだ3分の1しか終わってない宿題を、エアコンがひんやりきいたラグジュアリーな部屋で片付けようと決めていた。

幸ちゃんの家は結構な資産家で、漫画に出てくるような大きな屋敷広い庭、25mのプールもあって、行くと必ずお手伝いさんがケーキやお菓子をお茶やジュースと一緒に運んできてくれる。

お茶も、うちみたいにマグカップでどかんと出てくることはなくて、お皿付きの綺麗なカップに大抵は香りのいい紅茶が注がれてくる。

宿題をして、毎日その日のノルマを終えたらプールに飛び込む。

でもって、プールから上がったあとには美味しいお菓子と、夏だから冷たいジュースとかサイダーが用意されているに違いない。

そうだ、たまにはモンモンも連れて行ってあげよう。

そういえばまだモンモンの犬かきを見たことがない。

モンモンにも海水パンツを履かせて一緒に泳いでみよう。

いや、いつもパンツなんてはいていないから海水パンツもいらないか。

それより幸っちゃんちのプールは広くて真中は深くなっているから、犬用のライフジャケットが必要かもしれない。

そんなことを考えながら、久しぶりに制服を来て、学園に向かった。

今日は夏休みの間に設けられている二回目の登園日だ。

わざわざ登園する割には別に大したことをするわけではなく、先生からの残りの休みについての注意事項を聞くだけだ。
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